コンビニウォッチャー

コンビニを通じて、色々な情報を提供していきます。

コラム「デフレと値下げ制限」

金曜日のコラムのはずが土曜日になってしまいました。まだ暫くは、こちらで週一くらいのペースで書こうと思っていますので、よろしくお願い致します。

 

今週は、コンビニウォッチャーとして、見過ごせないニュースが有りました。最高裁判所で、セブン-イレブンの本部がフランチャイズオーナーの見切り販売に対しての制限を独占禁止法に抵触すると判断し、賠償命令を出したというものです。

 

私、というよりこのコンビニウォッチャーは、フランチャイズオーナー、店長などコンビニの現場で頑張っておられる方々へのエールの意味合いでブログを運営しておりますから、当然、コンビニの本部が過剰な制限をして店舗を苦しめることには反対です。また、廃棄に対してコンビニの本部ではほとんどリスクを背負うことなく、受注を増やすよう常にプレッシャーを掛けているという現状があるのであれば、それは違うだろうと思っています。

 

しかし、見切り品を含めたフランチャイズ店の独自の値下げについては否定的に考えています。これは日本経済がデフレ化した一因が過度な価格競争にあったことと私は考えるからです。一般的に経済学では、価格は、供給と需要の関係で決まってくることになります。サプライヤーのS曲線とデマンドのD曲線が、それぞれ供給(S)と需要(D)になる訳ですが、これが交差するところで価格帯が決まってきます。この理屈で言えば、コンビニの店舗で売れ残っている弁当が余っている状況は供給(S)が大きく需要(D)が小さいために価格が下るところで交錯することになります。ですから、見切り販売は当たり前だと考えられるわけです。

 

ところが、これが日頃から、供給過多で価格が押し下げられる形になるとミクロ的にはおかしな事になってくるのです。それは、需要者である消費者は、値段が下がるものと考え、今、購入したなら損をするという考えを持ち始め、需要(D)の曲線が自然と押し下げられるということが発生するのです。これは、超ミクロ的に言えば明日からバーゲンセールがあると思えば、誰もお店に来ないという話ですし、スーパーが見切り品販売を夕方からすると分かっていたなら、その直前になると値下げをするのを待つ人が出てくるという話です。

 

こういう消費者心理が働くようになりますと、利益率を維持することが難しくなりますから、働く人の賃金を切り下げるなど、生産コストを更に下げていく必要がでてきます。働く人の賃金が下がったり、生産コストの削減のために海外生産に切り替えたりということになると、結果的に更に国内の需要が落ち込むという悪循環になってしまうのです。

 

これが日本のデフレの原因の一つですから、単価を下げないようにするために企業は色々な努力をしてきました。一つがファストファッションと呼ばれるような格安で、かつ、次回来た時に商品がなくなっているだろうと考えさせるような売り方です。

 

仮に残っていたなら、値段は下がっていると期待できても、商品が残っていなければ買えない訳ですから、消費者は値下がりを待つことなく購入するということになります。

 

もう一つが、今回のテーマである値下げの制限です。

消費者はセブン-イレブンの弁当は値下がりすることがないことを知っていますから、値下がりするかもしれないという期待感あるいは不安感から購入を控えるということはしません。

 

定価であっても、欲しいと思うものがあれば、躊躇することなく購入していきますし、値下げが起きないことが一つのブランド力になっていました。値下げ制限が強圧的に行われていたのであれば、無論是正が必要ですが、ブランドを守るために値下げを制限するということ自体は、それほど無茶な話ではなく、デフレから本部や多くの店舗の利益率を守るため必要な部分もあったといえるのです。

 

ちょっと長くなりましたので、続きは、また来週にお話ししたく思います。


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